「拡」
年末どころか半期でもなく、四半期ですらない。まだ、今年は1ヶ月も経っていない。
さすがに今このタイミングで挙げる漢字が、そのまま年末まで残ることは考えにくいが、とにかく、今、挙げるならこの漢字だ。
拡大、の拡だ。なんのことかは、いわずもがなだろう。
新規感染者数で言えば、軒並み過去最高を更新している地域は多い。
感染、という一事だけを見れば、最も強烈で大きな波がやってきたと言わざるを得ない。
感染者数ではなく重症化率の方が重要、とか、そういう話もあるのは承知しているが、もはやこのウイルスがもたらす厄災というのは、そこにはないのではないか。
(重症化などで闘病されている方を軽視する意図はございません)
言い方によるが、これは「全人類共通の敵」なわけで、映画などでは、国を超え、政治信条を超えて人類が一丸となり、打ち勝っていく感動のストーリーになり得ることだ。
残念ながら現実の世界はそうはなっておらず、むしろ奴らは、国とか政治とか、そういう部分ではないところ、言わば「国境を越えて心を攻める」ことで人類を二分させる危険を孕んでいるし、気を付けないと、実際に分断の片鱗は見えている。孫子も真っ青だ。
そして奴らは、まるで意思を持っているかのように、姿形を変え、方法を変え、何度となく人類に攻撃をしかけている。これで、かつてのスペイン風邪のように、人類に対抗策がなく高い致死率を誇っていたら、たぶん、今は世界規模で経済活動は麻痺どころか崩壊し、秩序もなくなり、人類総サバイバルに突入していたかもしれない。
だからよかった、というつもりもなく、とにかく「流行り病」という程度に考えていては、いけないのかもしれないな、と思うわけだ。
科学の力、叡智の結集で、いつか人類はこの災いを克服する時が来るだろうと信じている。
問題はエピローグであり、エンディングだ。
学ぶことは多かったと思うし、今後に活かす教訓も数多くあるんだと思う。
「待望の続編!」
「期待の最新作!」
が出てこないよう、締め括り方も考えておかねばならないと感じる。