自宅から車で2時間ほどの、とある観光地へ行きました。
有名な神社に参拝しようと駐車場に並び、15分ほど待っていると、奥の方からおばあちゃん誘導員に「こいこい」って手招きされました。
「ここ、停められる?」
という、おばあちゃんが示した場所は、枠がない臨時置き場。両サイドの高級車が斜めになって停めており、どうやらそこに先程まで停まっていたのは軽自動車だったとのこと。空いた空間が、見るからに細い。
僕の車は普通車なので、ちょっと横幅がギリギリ。入るけど、ドアが開けられるか微妙。
とはいえ、奥まで呼ばれて、停められなかったら、これってまた並び直せとかなるの?と思い、とにかく入れてみることにしました。
幸い、その場所だけ後ろの壁が奥まっており、ギリギリまでお尻を下げると、両サイドの車は斜めになっているだけに、ドアを開けるスペースが作れました。
おばあちゃんは、誘導もせず、先に降りていた配偶者と何やら話し込んでおりました。
なんでも、髪の毛にパーマをかけたらしいんですが、暴れちゃってしょうがないと。困っていたところ、先に降りた配偶者がパーマがかかった頭をしっとりまとめていたので(おばあちゃんの表現)、どうやっているのか、と尋ねていたようです。
「ムースワックス使ってますよ」
「え?ムース?もっかい言って」
「ムースワックス」
「ムース…ワックス…と。いいこと聞けた、会えて良かったよ〜」
おばあちゃんが、仕事用のメモ帳に走り書きした文字は、モースワックス。
まぁ、美容院でモースワックスって言えば、たぶん美容師さんが察してくれるだろう。
にしても、けして仕事熱心とか、そういう人ではなかったけど、こういうおばあちゃんは陽気がもらえて、よい出会いでした。