うちの会社でよく起きるミスのひとつで、忘れ物とか、落とし物がある。
これは、性格も起因はしているのだろうが、比較的、誰にでも起こりうる現象のように見える。
朝、必要なものを持って出るのを忘れるとか、そういう類の忘れ物ではなく、もっと刹那的な感じだ。
そのような現象に共通してある「刹那的」は、性格以上に職務内容にも原因がなくはなさそうなので、案外と根深い。
とある建物から出るのに、スリッパから靴に履き替える。その際、置いてある靴べらを拝借する。拝借する際、手に持っていたものをゲタ箱の上に置く。そして、そのまま忘れてくる。
これが、典型的なパターンだ。
状況を聞いていると、原因は幾つか絞られてくるように思う。
まず、持ち運ぶものの多さ。
これは、置き忘れるなどの原因となる要素だろう。1個のうち1個がなくなれば気付きやすいが、10個のうち1個がなくなったら、気付きにくい。
そして、行動ルールの多さ。
こうしなさい、ああしなさい、こうしちゃダメなど、うちの現場仕事ではそれなりに制約があるので、そちらにばかり意識が向いてしまうと、違うところが疎かになる。
あとは、他に気になる要素。
うちの仕事の場合その多くは時間であるが、そちらを気にしていると、もちろん意識がそちらに向いてしまうのもあるが、慌てるあまり、動作や行動をはしょってしまったりする。
持ち運ぶものの多さは、点数の多さもさることながら、それをどこにしまって、などがけっこう細かい。
この書類はこのケースに区分別に入れて、そのケースをこのカバンに入れて、という組み合わせが3〜4通りあって、顧客によってまたそのツールが増えたり組み替えたりがあるので、言ってしまえば煩雑である。
所持品を最終的に全て並べてチェックするシーンがないし、だから「中の中にあるべきものがない」などは、帰社してから気付くなんてこともある。
また、その煩雑さから「その通りにやらないシーン」が発生すると、全ては個人の注意力に依存することになる。
バッグの中にあるべきものを手に持っていたり、ケースの中にあるべきものが別の鞄にむき出しで入っていたり、などをすると、その都度、しまった場所を記憶し、探す必要があるので、記憶違い、忘れが生じやすく、また、あるべきものがそこになくても気にしなくなる。
こういうことの対策を考えるのも会社なわけだが、こういう人間心理などに基づくものは、なかなか解決が困難そうで、誰も関わろうとしない。
私も、事例を紹介して注意喚起するぐらいしかしていない。
ただ、私も元現場の人間として、その大変さは知っているので、なんとかしてあげたい、という気持ちだけはある。
そんな、気持ちを確認するだけで終えている日々です。