毎朝、バス停で出くわす女の子がいます。
僕が異動になって、この時間にバスを使用するようになった時は、まだ小学校に上がりたてぐらいで、親御さんがバス停から乗るまでは見送りにきてたような記憶があります。
それが、もう高学年になるのかな。時が経つのは早いものです。
ですが、その子はバス停での並び方が少しよろしくない。
もともと乗り込む客は少ないバス停なので、これまで何事もなくやってきておりますが、前乗りのバスなので、基本的には前の乗口を先頭に、車両後方に向けて並んでいきます。
この並び方はこのバス停だけか?と思ったりしましたが、少なくとも同じ路線、付近のバス停では皆、同じでした。
ですが、この子だけ、逆方向に並ぶんですね。
バス停自体に寄っかかりたいみたいなんですが、列からは外れているので、順番に困ります。
本人は順番を覚えているようで、自分の順番になると堂々と乗り込みますが、並んでいる人からすれば横入りに感じる、と。
そして、この間はバス内の混雑で乗り込むのを少し待たされたのですが、ついに完全な横入り、先頭でヒョイッと乗り込みました。
大人として、指導をすべきなのかは迷います。
少なくともこのバス停では並び方が確立されていて、おそらくこの路線のバス停は大半、同じ並び方をします。
この子が将来、不要なトラブルに巻き込まれないためには言ってあげた方が良いのかもしれない、と思うのです。なんせ、おそらくこのバス停における一番の顔見知りは、僕ですからね。
ですが、こういうご時世です。
小学生に中年のオジサンが喋りかけるなど、それだけで事案です。
この子が家で親御さんにキモいオッサンの話をすれば、バス停で親御さんに凸されるかもしれません。
それと。
世間は広いですから、ここでのバスの待ち方はあくまでローカルなものかもしれない、とも考えます。
僕は別に路線バスには詳しくなく、むしろ疎いので、ここだけのルールで賢しらに説教するのもいかがなものなのか、と。
僕は常識と思って話をしても、世間ではそれが常識とは限りません。
ただ。
あの子は、そのまま大人になります。
郷に行っては郷に従え、という言葉があり、この類の教えは、若い人には「老人の小さくまとまった言葉」「右へ倣え」「没個性」「同調圧力」など、疎ましく感じるものだと思います。他人と同じにしなさい、ということですからね。
とはいえ、他のシチュエーションで学ぶことがあればいいのですが、いつか、どこかで変な絡まれ方をしたら可哀想だなぁ、という、まるで娘を見るような目で考えてしまいます。
まさに、事案です。