電話をする。
例えば、恋人と。
例えば、配偶者と。
特に恋人、という間柄ですと、長電話をしてしまうシチュエーションもあると思います。
あ、でもこれは、イマドキはどうなんですかね。
僕の若い頃は、専ら電話でしたが。そして、今のようなインターネットを介して定額で通信できないし、そもそもモバイルの電話なんてないし、思えば昔は過酷でしたなぁ。
さて、ここからが本題で、僕の好むジャンルの話です。オカルトだとか、スピリチュアルだとか、というやつです。
冒頭で書いたような楽しい会話シーンを、ぶち壊そうという輩がいるという話。
これは電話に限らずだとは思うのですが、僕自身が、電話でしか経験がない。なので、電話での会話をベースにしています。
あ、自分は経験している、みたいな書き方をしていますが、特に専門的に検証されているわけではありません。能力者にその事象について判断してもらったわけでもないので、素人による推測に過ぎません。
この手の輩は、さりげなく会話に入ってきます。
もちろん、二人の会話が三人になれば誰でもわかりますので、この場合、どちらかに成りすまします。
成りすます、という表現も少し違っていて、取り憑いている、と言えばそうなのでしょうけど、その人の記憶を使い、その人の声を使い、その人の会話をスルッと引き取って返事をする、みたいな感じです。
なので、その相手は当然、気付きませんし、そのまま会話を続けます。
ですが、その返事が無愛想になってみたり、変な引っかかり方をしてみたりして、だんだん会話がねじれていく方向に持っていきます。
で、最終的には喧嘩になる、という風に仕向けるのです。
まぁ、普通に会話していても、喧嘩になる時はありますので、別に霊とか憑くとか関係なくね?と言えばそれまでですが。
なんですかね、いくら喧嘩でも、そういう言い方はしない人なのに、とか、日常的にあまり聞かないような言葉で罵ってくるとか、どこか、腑に落ちない絡み方をしてくるんですね。
あとは、だいたいシチュエーションが固定でした。
僕が仕事帰りで、相手が既に帰宅していること。夜も更けた時間帯であることと、相手が晩酌をしていること、です。
特にお酒はポイントで、なんですかね、トランス状態になりやすいんですかね。
「虫酸が走る」って、言われたことあります?もしくは、言ったことあります?
たぶん、この言葉と触れ合う人って、そう多くはないと思うんです。
言葉自体が相当キツイので、いくら怒り心頭の大喧嘩していてもなかなか出てこない言葉ですし、そもそも、現代日本であまり常用される表現ではないですから、ポンポン出てくるもんじゃないですよね。
これを言われた時は本当にカチンと来ましたが、というか怒りを超えてドン引きしましたが、だからこそ気付いたとも言えます。こんな言葉を使うなんて、普通じゃないぞ、と。
だいたい、次の日には覚えていないと言います。
なんで喧嘩になったのかも覚えていない。下手したら喧嘩になったのも覚えていない。
そして、それが嘘じゃないんだろうな、と思うのは、本当に悪びれず、ケロッと電話をしてくるからです。
そんなことが繰り返し続き、いい加減わかってきた僕は、それからは、喧嘩になりそうな雲行きの時には、
「酒、飲んでる?」
と聞くようにしました。
すると“相手”も何か察する所があるのか、飲んでちゃいけないのか、人の自由を奪うのかとか、まぁ、それだけでギャンギャン文句を言ってきます。
そんな時は、じゃぁ話やめるわ、とガチャ切りすることにしました。
それでも、次の日にはケロッと電話してきます。
つまり、記憶にないわけで、電話口で私に悪態をついていたのは、彼女ではないわけです。
というのが、電話にまつわる僕の“そういう話”です。
信頼している人と、なぜか喧嘩になってしまう時は、むしろ冷静になって観察してみてください。
いくら怒っていても、その人はその人です。
その人らしくない怒り方をしていたら、もしかしたら、二人の関係を壊そうとする、目に見えない存在の仕業かもしれません。