かけ慣れたダイヤルまわしかけて
ふと 指を止める
ダイヤルする、という表現は、もはや若い世代には通用しないとか聞く。
そこから派生した意訳である「ダイヤルを回す=電話をかける」というのも、当然、通用しないのだろう。
無理もない。
私の小学生時分から、プッシュボタン式の電話機というのが存在していたので、数えるほどしか「ダイヤルを回した」経験がない人は、私世代でもいることだろう。
ただし、出先の電話機や、公衆電話などではダイヤル式もまだまだあったので、ダイヤルを回す、の意味がわからない人は、私世代では、多分いない。
当初は、電話機はプッシュボタンでも、方式はパルス式だったりしたから、自動音声案内やポケベルが出始めると、入力の前に「0」を押すとか、そんなルールもありましたな。
ちなみに、さらに遡って私の親世代になると、いわゆる「電話交換手」の時代があるので(となりのトトロで出てくるやつ)、あの時代は「ハンドルを回す」と言ったりしたんだろうか。
いや、その当時は一家に一台でもなかっただろうから、常用語にもならなかっただろう。
実家の電話番号は、子供時代のおかげで、まだ暗記しています。よく遊んだ友達の家の番号も憶えているけど、引っ越してしまったから、番号は変わっているかな。
当時の電話文化で思い出すのは、保留の時に使う、受話器を置いておく道具。名称がわからない。
受話器を乗せると重みで沈み込み、それでスイッチが入って、オルゴールが鳴る、という、いまの保留音の元祖的なやつだ。
単純に、受話器がオルゴールの音を拾うだけなので、まわりに雑音があれば、それも入ってしまうという、おちゃめなアイテムだ。
そして、昔の家電は、よく「おべべ」を着ていたのも、懐かしい思い出である。