職場で、コロナ陽性から復帰した方が、味覚障害について話してくれた。
というより、彼は誰かに話したくてウズウズしていたようで、たまたまそばを通りかかった私をつかまえた、という感じだ。
その人は、あまり周囲から好かれていないタイプで、そのぶん本人も斜に構えている感じのだが、どうも私のことは気に入っている(というか私が避けないだけか)ようで、5分ほどの立ち話に付き合わされた、という具合いだ。
話は、なかなかに具体的で、その味覚障害は、表現するなら「味覚の退行」であり、幼児程度にまで味覚が戻る、ということらしい。
大人になってから美味しさを感じるようになった味覚は全滅だが、幼児の頃から口にしていた味は、そのまま狂いなく感じることができるらしい。
が。
彼のそれは今回の本題ではなく、その立ち話があった夜、コロナ感染の後遺症というもので、ネットで面白い情報があったので、なんとなく書き留めようと思っただけである。会社のオジサンの話は、単なる話の導入である。
というわけで本題であるが、ネットで見つけたその後遺症は、幽霊が見えるようになった、霊感が備わった、という類の話だ。
未知の病で、未知の病後もあろうとは思うが、まさか、霊感が備わるとは。
まぁ、ネットでは、そんな〇〇さんが撮影した心霊映像がこちら、みたいな話の流れだったので、一般的に考えれば信憑性というのは著しく低くなるのかもしれないが、なんというか、それが本当かどうか、というよりも、その発想に「虚を突かれた」感がある。
それと、コロナに感染することが、隠すことでもなく、むしろ当たり前の社会現象として語られていることにも、時の流れを感じる。
感覚としては、インフルエンザの感染よりも社会に受け入れられているような感じだ。
とはいえ。
極限まで追い込まれたり苦労したりすると、特殊な能力に目覚める、という話は耳にするし、理屈として全くわからないわけでもない。
例えば防衛本能としてなのかもしれないし、もともと持っている能力を引き出すための修行のような位置付けにその苦労がなっていれば、科学的根拠はないにせよ、まぁ、わからなくはない。
問題は、コロナ感染というものが、特殊能力を引き出すほどの修行なのか、というところだろう。
もちろん、中には死線を彷徨った人もおられるであろうし、時間の長さに関係なく、その苦労や努力というのは、人の成長を促すものだとは思う。
そのネットの情報では、霊感を身につけたという元感染者が、感染中にどのような症状だったのかは語られていないが、果たして身体の進化(?)を伴うほどの闘病だったのか?と考えると、まぁ説得力には欠ける感は否めない。
本当に苦しんだら、併せて精神的な進化(?)や悟りを伴うと私は想像するし、となると、それで得た能力を、単なるオカルト(心霊映像を撮るだけ)に費やしてお金稼ぎのネタにするとは、少し考えにくいと思った次第である。
とはいえ、私はそのような苦労や努力とは無縁の人間なので、そういうシチュエーションで得る精神的な進化とか、悟りとか、そういうものの真実はわからない。
だから、あくまで私の憶測でしかない。
ただ、かたや霊感、かたや味覚障害。
未知なる病というのは、怖れるべきであると共に、不思議でもある。