学んだことを、過不足なく、そのまま適用する生活の仕方がある。
ここで言う学びとは、学校で学ぶことだけに留まらず、生きている中で得る知恵、他人との話から得る気付きなども含む。
この季節、コバエ対策がピークを迎える時期だが、コバエはゴミに湧き、ゴミにたかる、とインプットされている人がおり、また、ゴミ=廃棄したもの、というインプットもされている人がいる。オプションでペットの糞尿にもたかる、みたいなインプット。
そういう人のコバエ対策は、もっぱらゴミを対象としたものになる。
コマメにゴミを捨てる、生ゴミは都度、ビニールなどに密封している、常にゴミ箱まわりを清潔に保つよう心がける、など。
効果がないわけじゃないが、万全ではないわけで、ふと振り返ると、鍋に味噌汁が入ったまま、フタもせずに置いてあったり、食べ残しの入った状態の食器がシンクに放置されていたり、コンロまわりに料理の油汚れなどが多数付着していたり。
ハエは生き物で、当然、栄養のあるものを求めていて、結果としてゴミや糞尿にたかることがあるだけで、彼らにとって栄養源になる食べ物であれば、別にゴミじゃなくてもたかるし、卵を産みつけ、それがかえるのも、けしてゴミだけじゃないわけで。
なんつうか、ハエの身になって考えてみる、ということをしないと、こういうところって気付かないものなのかもしれない、と。
たまたまコバエさんの話をとりあげたが、こういう、なにか頭にあるルールや法則を絶対視してしまい、それ以外を想定しない、という現象は、日常の中で多々ある。
以前に、私は風呂に入ったあとはタオルに除湿乾燥機をあてるのでコスパが悪い、という話を書いたが、それもそうで、もちろん環境によりけりだが、干す、という行為が大切なのは同意だが、干す=乾く、とか、干す=臭くならない、というわけではない。
逆に私は、換気の悪い場所で干す=臭くなる、というのがインプットされてしまっているので、乾燥機をあてないと気が済まない、ということにもなっている。
最近、私にインプットされているのは、一日中エアコンの効いた中にいると、体調が思わしくなくなる、というものだ。
いわゆる配偶者にはそのようなインプットはないので、この夏、彼女はエアコン信者である。
横から、電気代が、電気代が、と、呪詛のように私がつぶやいているが、なんの効果もない。
まぁ、家庭の中の愚痴で済めばいいのだが、こういう現象は、仕事の上でも発生する。
よく「思い込み」などとも表現されるが、個々が持つルールや法則が違うのだから、同じ現象を目の当たりにしても、そこから導き出す「解」は違うものになる。
なので、皆が同じ対応をするためには、解釈云々ではなく、個々の培ったルールや法則の上位に、より強力な、優先されるルールを設置する必要があり、それが、社則とか、規定とか、SOPだったりする。
なんか真面目な話になってしまったが、夜中にそっと鍋にフタをしている自分が、少しシュールだなぁ、と思っただけである。
ちなみに、私の中には「夏場の常温保管はすぐ腐る」という法則、および「腐敗は夜にやってくる」という法則もあるので、なんとか冷蔵庫に突っ込めないか、パンツいっちょでガサガサ、ガタガタやっている自分がいたりして、その姿はシュールを通り越して、少し病的かもしれない。