蛤。
好む人はとことん好む食材である。
先日、母が外出のついでに蛤を買う、というので、その買い物に付き合った。
私は残念ながら、食べ物に目がない、という立場にはいないので、自分も別途買う、ということはしなかった。
母もそうで、どうも行きつけの飲み屋の友人たちに頼まれて買ってゆくのだとか。
そして、おすそわけをくれた。
私に、というより、いわゆる配偶者へのおすそわけである。
いわゆる配偶者は”目がない”人である。
自宅でさっそく焼いて食べるわけだが、卓上のカセットコンロの網焼きで焼く。
いそいそ、わくわくと、いわゆる配偶者が蛤を乗っけて焼いていく。
で。
殻が、爆発する、というか、はじけ飛ぶ、という現象が多発するところまでが我が家の基本だ。
私はよく、怨念だ、という。
多くの貝を、こうして焼き殺してきたのだ。
その念が集まり、ささやかな抵抗、反撃をする、それが殻の爆発だと。
まずくなるような話をするな、と、半ば本気でキレられ、仕方なく黙るのだが、私はおそらく、食に興味が薄い分、食に対して失礼な人なのだろう。
しかし、ハマグリが、嫌いなわけでは無い。
自宅では全てのハマグリを配偶者に譲ったが、そもそも、買いに行った先で、ハマグリラーメンなるものを食してきた。
あっさり薄味で、美味だった。
ハマグリは、食材としては日常的に手を出すには高く、こうしたイベントのようになってしまう。
なので、いわゆる配偶者は代わりにホンビノスを探すのだが、こちらは流通網に限りがあるのか、質の良いものとなると、入手が難しかったりもする。
そして、あまり興味のない私は、その買い物に付き合わされている感がとってもあります。
まぁ、嫌ではないんですが、自分にもっと興味があれば、こういう買い出しも楽しめるんだろうになぁ、と。