私も、いわゆる配偶者も、学問として音楽を学んだことはなく、好きなバンドサウンドをドンガンドンガンやっていただけなので、その幅は狭い。
それは互いに自覚しているし、お互いがそうであることもわかっている。
ただ、いわゆる配偶者の作曲はいわゆる「鼻歌」で、それをパソコンで打ち込んで、こんな風にしたい、ああいう風に歌いたいなどと要望をもらい、私が、出来る限りでそれに近づける、ということが多い。
「こういうの描いた」
「うむ、これはどういうイメージだね」
「○○みたいな雰囲気にしたい」
「うむ」
「あ、それと△△っぽくしたくて」
「う、うむ」
「で、ここは“キメ”で、こういう風にしたい」
「うーむ」
「で、ジャズっぽいっていうのかな、そういう要素もあるとカッコいいかも」
「無理」
「作ってみなきゃわかんないじゃん」
「いやだって、ジャズなんて演れないからわからないよ」
「いつもYou Tubeでジャズドラムの人のチャンネル見てるじゃん」
「いやね、ドラムはさ、真似事の“エセジャズドラム”ぐらいは作れるかもだけど」
「そう、とりあえずそれでいいからさ」
「あのさ、ベースとかギターとかピアノとかさ、色々と楽器あるじゃん。そこらへん、真似事すらできないって」
こんな会話があり、仕方なく、近いジャンルの音楽を聴き込んで、全てを真似事で入力してみるわけだが。
もちろんジャズではなく、むしろ求めていた○○っぽいとか△△っぽい要素にまで悪い影響を及ぼしてしまい、なんというか、手当り次第具材を投げ込んだ「ごった煮」を、あげく真っ黒に焦がしてしまったような作品が出来上がるのである。