家電、というのは、そもそもどういう言葉の略なのか。
・家庭用電気機械器具
・家庭用電子機器
こんな感じか。
現代では、家庭用電波機器、も含まれるだろうか。
家庭用、という言葉は、
・家庭で使用する
という意味だろうが、家の中、という場所的な意味合いと、いわゆる家族など、人のグループを指すケースも考えられる。
法人、企業などの対としての表現であるとも言えるし、営業活動、営利活動など、使用目的としての対とも言える。
一方、電気機械器具となると、動力源として電気を用いる機械、という意味でしかない。
電子機器となると、たんに機械、というだけでなく、そこに電子工学とか、情報処理とか、例えば電気を信号として用い、複雑な動き、処理ができる、みたいな技術が乗っかっていると思われる。
これを踏まえると、かつては家庭用電気機械器具であった大半の製品は、現代ではほとんどが家庭用電子機器に肩書を変えており、というより、純粋な電気機械器具、というものは、ほとんど存在しないのではないか。
イマドキは、洗濯機にせよ、炊飯器にせよ、掃除機にせよ、自分で考えたり、何かを憶えたり、人と通信を介してコミュニケーションしたり、と、単純な「機械」ではないものばかりだ。
むしろ、純粋に「電気で動く機械」を探す方が難しく、いわゆる一定の機能だけを満たしたリーズナブルなノーブランド家電などに、その存在が認められるぐらいである。
さて。
そんな中、今までは、家電、としては括られず、どちらかというと、家電、という括りと同位の別分野としてあった「自動車」。
マイカーという言葉でもわかる通り、いわゆる白物家電などと共に、裕福な生活の象徴であったり、目標であったりしたと記憶している。
が、この自動車、今後は電気で動作するものが世界を席巻すると予想される。いわゆる電気自動車というやつだ。
となると、電気自動車は、名実共に、家電、ということになるのではないか。
家の中、ではないが、家庭で使用される、という意味を用いれば「家庭用」である。
また、ハイブリッド車などはその電源がガソリンのエネルギーからの転換だが、完全な電気自動車となると、おそらく自宅での充電が普及するだろうし、仮に充電場所が家の中、ではないにしても、その電気費用は「家庭」が持つのであるから、広義で、家の電気を使用していることになる。
そして、家電の「電」については、これは主としては、確実に「電子機器」と呼んで差し支えない。
走る、という機能を搭載したパソコンであり、AIであり、たんなる機械とは言えないのは、一目瞭然である。
つまり、家庭用電気機器でもあり、家庭用電子機器でもある、まさに家電の中の家電に、変貌を遂げる。
だから、近い将来、かつての名車が生まれるだろう予測も容易だ。
乗り込めば「やぁマイケル」と気さくな挨拶を交わし、呼べばどこにいても「自走」して迎えにきてくれる。運転手の体調が悪ければ代わりに運転してくれる、いわば完全自動運転車でもあるその名車は、ナイト2000と呼ばれ、ナイトライダーとして広く知られている。
ナイト2000はそのような最先端の自動車ではあったが、時代の子であり、そのベースはガソリン車である。
また「家庭用電子機器」という意味ではそこにあてはまりそうだが、残念ながら彼は財団の所有であり、主人公のマイケルは確か探偵だったような気もするので、家庭用ではなく、業務用または営業用である。
なので、ナイト2000は、家電ではない。
が、今後は違う。
ナイト2000に劣らない高性能な自動車が、電気によって動く電子機器として、家庭、家族の生活を支える家庭用機器として、私達の目の前に現れる。
自動車が高性能な「家電」としてデビューするのも、そう遠い未来ではないのではないか。