最初のコロナ禍以来、髪の毛は、いわゆる配偶者に切ってもらっている。
若い頃に、専門学校に通ったことがあるようで、まぁ、ド素人の切り方ではないようだ。
わたしとしては、実は助かっていて、どうも美容院というのが苦手な私は、コロナ関係なく、行くのが億劫だった。
なので、さっさと行きつけを作り、ずっとそこで、と考えているのだが、美容師さんの異動だ退職だ、で、なかなか担当者が安定せず、その都度、お仕事は何なのか、休みは何をしているのか、などを話すのが億劫だし、気を使ってしまう。
そして、私には特にこだわる髪型もないし、むしろ似合いそうな感じにしてほしい、と思ってしまうので、そういう意味でも助かる。
いわゆる配偶者には、思うままに切って頂く。
ただ、いわゆる配偶者は、プロではない。
だから、たまに、
「あっ」
という時があるし、
「えっ」
という時がある。
そして、いわゆる配偶者は意外と勢い重視型なので、思い切って「やってみた」が多い。
「えーと」
「どう?○○っぽくしてみた」
「えーと」
「いま、けっこう多いんだよ、こういう髪型」
「その、○○って誰?」
「知らないの?芸能人のさ、今、けっこう人気あるらしいよ」
「それはいいんだけど、その○○って人、いくつぐらいの人?」
「どうだろう、20代後半か30あたまぐらいじゃない?」
「僕の年齢、知ってるよね?」
「大丈夫だよ、今どきその年齢でこういう髪型も全然いるよ」
「これで会社いくの?」
「もう切っちゃったからね。戻せないね」
「なんか、うなじが涼しい」
「刈り上げたからね」
「そもそも、僕に似合う髪型なの?」
「そう思ってるけど」
「そっか…ありがとう」
〜〜〜
「あれ、髪きったんすね。ずいぶん思い切りましたね」
「思い切った、とは、つまりどういうことだね」
「あ、いや、その、普段、どちらかというと長めじゃないですか」
「うん、そういう意味では思い切ってみた。というか思い切らされた」
「ま、まぁ、時にはイメチェンでいいんじゃないすか?」
「…目が笑ってるぞ」
「あ、すいません」
ほら!
今日は家族会議だ!
(切ってもらっているのに)