重役出勤、という言葉がかつてありました。
最近はあまり聞かなくなった言葉なので、死語になっているのかもしれません。
こんな言葉のおかげで、会社のえらい人というのは朝早くから働くものではない、という認識がありました。
まぁ午前中内に会社に来て、気がつくといない、みたいなもんかと思っていました。
僕が勤める会社は、親会社含めて、役員の朝が早い。
役員が現場に入っているような規模の会社ではないので、朝早くからやっていることは会議です。
ただし、内容的にはダラダラした会議のための会議ではなさそうですので、それはすごいなぁと思います。
思えば、重役出勤、という言葉は、僕がまだ社会に出る前とか、出たての頃にあった言葉です。
聞かなくなったのは、多分、この言葉を使う人自体が年齢的に引退したのでしょう。
僕よりも若い世代になると、この言葉を知らない人も増えていくのだと思います。
なので、若く、この言葉を知らない方に蛇足で説明しますと、この言葉は、嫌味として使用します。
遅刻してきた社員に「重役出勤だなオイ!」と、イビるための言葉です。
その前提として、重役は朝から会社に来ない、という現実があったわけですね。少なくとも、僕が社会に出る前は。
ただ、役員は勤務時間に縛られないということがありますし、そもそも朝から外で人に会っているかもしれない。会社に来るのは遅くても、仕事は早くからしているかもしれないですよね。
ま、僕はそういう人には縁が無いのでわかりませんけども。
しかし。
現代は、出勤時間も多様化し、フレックスやテレワークも増えましたので、こういう言葉は、今後は生まれないのでしょうね。
あぁ、もしかしたら、社会は労働時間の管理に厳しくなりましたから、ダラダラと残業することに対して、何か揶揄するような言葉が、もしかしたらもう様々な会社で生まれているかもしれませんね。
同時にハラスメントにも厳しくなりましたから、あまりキワドイ揶揄は、そっちでひっかかるかもしれませんのでお気をつけください。
そういえば、同じころ、「男は年齢と同じ額を稼げ」という言葉がありました。
30歳なら月に30万、40歳なら月に40万、という具合です。
年齢の何倍、何十倍、稼ぐ人も世の中にはおりますが。
この言葉も聞かなくなりましたが、これは自然とブームが去って死語となったとかそういうのではなく、バブル後の不況が長らく続き、大半の人にとっては夢物語になったから、と考えられます。そして、それ以上に企業側が「そんなに出せない」から死語化したような気もします。
仕事があるだけ御の字で、給料なんて年齢の半分もあればいい方、みたいな時代が続きましたし、それは今でも継続しています。
その時々の言葉などを思い出してみると、親と自分、たった二世代でもずいぶんと環境は変わっています。
普遍なる、人生の先達からのアドバイスはあると思います。
ですが、親から聞かされてきたことが、自分の世代で通用するかはわからない、ということを、この言葉の興亡は示しています。
同じように、僕らの言葉は、僕らの子ども世代に役立つかどうかもまた、わからないわけですね。