もう、10年以上は前のことだと思うのですが。
女性が電車内でお化粧をすることの是非について議論があったと記憶しています。
いや、議論ってほどでもないか。社会問題、というほどでもなかったような気がしますが、どの界隈で騒がれていたんだっけかな。
電車内でお化粧するのはけしからん、という意見があった、ということです。
今は聞かなくなりましたが、まだそういう話はあるのでしょうか。
そもそも、けしからん、と言うより前に、そういう行為を見かけなくなった気がします。
まぁ、私が見かけないだけかも知れませんけども。
減った、なくなった、という前提で話を進めますけども、じゃぁ、なくなった理由は何か、と考えたのですが、結局あれは、ひとつの「ブーム」だったのかもしれないな、と。
いや、お化粧という文化・文明があれから画期的な進化を遂げ、電車内でやる必要がなくなった、という可能性もあるかも知れませんけども、私がブームであった、と考えるには理由がありまして。
まず、あの頃に「それ」をしていた人たちは、今はもう、電車でお化粧をする必要がなくなったんだろう、ということです。
時間が経っていますから、社会的立場や生活環境が変わっていった結果、でしょう。
そして、ブームである理由その2として、その行為を真似し、継いでいく後継者がいない、一過性の現象のようだから、です。
で。
直接的にこの話を考えたきっかけは、最近、ある女性をよく見かけるからです。
その方は、電車内で、お化粧をするんです。
見かけるのは朝の通勤時間帯ですが、比較的空いている区間で見かけますので、時には座っていて、時には立ちながら、車いす用スペースで座席が備え付けられていない場所の窓越しなどで、お化粧をしています。
その女性は、私より年上。
私が「電車内お化粧論争」をリアルで聞いていた頃、渦中にいた方なんだろうな、と、思うわけです。
で、この人は、あの頃から今までずっと、継続してやり続けていたんだろうなぁ、と思ったのです。
私が、それをブームと呼んだのには、他にも理由がありまして。
その行為をする側は、ある種のパイオニア感と言いますか、最先端を行っている、という意識がどこかにあったんじゃないか、と。
それは、ファッションや流行の最先端というだけでなく、例えばその行為を電車内ですることを許容すべき、と考える人たちの旗手となっている、とか。
何か、ルールやマナーに新しい価値観を持ち込みたくて行動したムーブメントであった、というか。
なお、この行為について、私に賛否の意見があるわけではないです。
行動の中身というより思想。ある種の自負を持ってやり続けていたら、いつの間にか生き残りとか、生き証人みたいな立場になってしまったような、そんな印象を受けたのです。
私自身、感じることですが。
加齢により、ある日どこかで、とたんに時流というものへのセンサーが急速に衰える時期があります。
なので、最近見かけるその女性が、そんな自負とか主張を持ってやっておらず、ただただ必要に駆られて昔も今もそれをしているのであれば、これは私の考えすぎなだけですが。
もしそういう意図や自負があったのだとしたら、悲しいかな、そこでこの人の時が止まってしまっているんじゃないか、と。
そして、そういう止まった時計は、私自身が気付いていないところで、私自身にもあるんじゃないか、と。
申し訳ないのですが、私は、その女性の行動を通じて、そういうことを考えていました。
まぁ、今改めてその行為を見ていると、移動時間中にやるのですから、タイパは良いんだろうな、と思います。
ただ、どうしても慌ただしさというか、余裕のなさを感じてしまいますし、「電車乗っている時間がもったいないから"あえて"そこでやろう」というより「時間がないから電車でやろう」と言う方が事実に近いんじゃないかな、と思えてしまいます。
私自身は、電車でバタバタするのが苦手なので、多分、やりたくてもやれないだろうな、と思います。
今、ここらへんの常識というかマナーというか、は、どういう風潮なんですかねぇ。
