歴史上の偉人の存在感、というのは、こういう感じなのかもしれない。
彼を中心に、様々な混乱、対立が発生し、憶測が生まれ流言飛語が発生する。
新たな枠組みの模索、敵味方の峻別、勝ち馬の見極めに世界中が奔走し、様々な「リセット」が発生している。下手をすれば何十年と続いてきた方法、主義などの、だ。
全ては自分1人が勝つための策略なのか、と思いきや、自分をも巻き込んで、世界中を混沌の渦へと引きずり込まんとしている。
民主主義だとか、そういう概念、考え方をはるかに超越し、全てを燃やし尽くし、破壊し尽くし、イチから世界を構築しようとしている。
彼が、全てを「リセット」した後の世界に君臨するのだとしたら、おそらく今すでに、つまりはじめから「それ」を狙っていたのだろうし、それを達成するのなら、それは地球史上に残る偉人と言えるかもしれない。
いや。
これまでの世界の住民が、どのような結果であろうと「その後」の世界を見て「やはり彼はすごかった」と、もろ手を上げて讃えるようなことはないだろうから、その彼がどこまでのリセットを考えているかに関わらず、また、彼が何千年もの後世から見て正しいことをした偉人だったとしても、彼は暴君なんだろうと思う。