王者、覇者というのは大変ですね。
挑戦は、受けねばならない。
挑まれる側は、受けて立たない、というだけで、実質、負けます。
挑戦者、というと、ボクシングとか、プロレスとか、格闘技の印象が僕にはありますが、別にスポーツだけでなくとも、そのようなシーンはそこここにあります。
僕の好きな古代中国ですと、例えば、周王朝があり、その中で覇者として君臨する晋という公国があります。
他の周王朝下の諸侯国は晋に従うわけですが、ちょくちょく、周王朝の外側から、ちょっかいを出してくる国があります。
楚、という国ですが、強大なものですから、その都度、決戦になるわけです。
晋は周王の名代として、諸侯の軍を率います。
多分、楚も、周王朝に属さない小国を従えていたりするのでしょう。これは僕の憶測ですが。
仮に晋が決戦から逃げるとどうなるか、といえば、当然、周王朝の領土が削り取られるわけで、さらに言えば、楚に一番近い諸侯の国などは、蹂躙される前に楚に降ります。
また、諸侯を守らなかった、ということで、諸侯の中には周王朝や晋に対する不信が生まれ、だったら率先して楚に属き、国の安全を計る、ということも考えます。
思いがけず、現代に似たような景色がありますね。
かつての同盟国を攻め、また現在の同盟国を守らなかった某大国は、盟主としての立場を失い、まるで属国と言えるぐらいの小さな同盟国からもボイコットされたりしています。
昔も今も変わらないんですね。
アメリカさんも気をつけないと、いくら突出した世界一の軍事大国だとしても、たったひとつの裏切りが、自身の覇権に関わってきますからね。
なにやら、ロシアとウクライナの戦争は、ロシアを勝たせる形で戦争を終わらせる、みたいな話をしている方がいるそうですが、この場合、そのあとに世界を包みこむ不信感は、どれほどのものになるのでしょう。むしろそれを第三者として眺めている国々に、どういう印象をもたらすのか。
仮に、今取れる最善の策であったとしても、それは今だけ、かも知れません。
とりあえず、そういうことになると世界中がカオスになるので、よく考えて判断していただきたいな、とか思っていたりします。
だいぶ話が逸れましたが、なんでこんな王者だの挑戦だの、という話を持ち出したか、というと、衆院選の補欠選挙で、自民党が候補者を立てずに不戦敗、というニュースを見たからです。
不戦敗、となると、政策がどうとか、野党がどうとか言う前に、王者が戦わずに逃げた、と受け止められるかもしれませんし、そうなると、様々な邪推、憶測が飛び交い、思いがけないことになりかねない、という意味では、今後を注視すべきニュースかもしれません。
よくも悪くも、日本はまた、英雄のいない国になっています。勘違いせず、傲慢さを捨て、慎んでことに当たらねばなりません。