今ここに至っては、進むも困難な道、引くも困難な道。
戦争で勝利を得たとしても、想定以上に傷ついてしまったので、力の回復には長い時間がかかる。
また、時間がかかり包囲網が構築されてしまったので、世界を舞台に考えれば、局地戦の勝利のために多くの敵を作ることになってしまったので、国力の回復には余計に時間がかかる。
そんな状態では他国に関わる余力がないので、今まで抑えつけていた各地の紛争の火種は放置せざるを得ず、そこに新たな戦争が生まれ、介入しない、できないとあらば、離心する国もあるかもしれない。
これは、結果的に、勝つことを前提とした想定であって、現実はどうか、と言えば、現状のまま進めば、胸を張って「勝った」というには程遠い戦果だろう。数日で国家を転覆、制圧するつもりが、一年かけても、面積で言えば半分も制圧出来ておらず、さらには反撃を恐れて進軍をためらうような状態だ。
負ければ、よくて失脚、悪ければ命を奪われるかもしれない。それも、事の始末をつけるために、見せしめのように○されるかもしれない。
そこまでしたとしても、国としては、世界からは見放され、衰退に向かうしかない。
強国としての存在感はなくなり、経済的にも困窮すれば、最後の切り札も維持できなくなる。切り札を手離せば、軍の質や装備の実態が明らかになってしまった以上、もはや他国の離反は食い止められない。
国を滅ぼす。
そこまではいかなくとも、歴史に最大級の迷宰相として名を残すことになる。
以上が、私の中の妄想であるが、そんな立場に置かれた今のその人は、どのような気分だろう。
戦争を、やめるにやめれない、というのはわかるが、継続して勝ったところで、明るい未来は見えてこない。
かつての超大国時代、二強時代ならまだしも、今は、追いつけ追い越せの国が多々ある。ましてや、その衰退を虚勢で隠してきたような実態だ。
国際的に失った地位を取り戻すことは難しくなる。
このような局面での政治的な立ち回り方があるのだろうとは思うけども、全てはその軍事力の強大さがあってのものであったと考えれば、いくら巧妙に立ち回ろうとも、総合的に国威低下、国力衰退、少なくとも停滞があり、その間に世界地図は塗り替えられてしまうだろう。
別に、未来予想がしたいのではなく、そんな立場に置かれていて、正常でいられるのが、人の上にたつ人の素質なのだろうか。強さなんだろうか。
あと幾つかの国が彼を見限ったら、彼は世界中を敵にまわすことになり、国内の人間からも見限られることになる。
やはり自分は、平凡な一国民でよかった、と思うのである。