人が何かにすがる気持ちというべきかわかりませんが、変わってほしくないとか、変わったことを信じたくない、という気持ちは、思いのほか多くの人に、思いのほか根強く、あるのかもしれないと思いました。
終身雇用が崩壊、というニュースは、私世代が社会に出るときには既にありました。
それからだいぶ時が経ちましたが、いまだに、終身雇用、ということを気にする人達がいるということなのか、新社会人へも、終身雇用について聞いているようなアンケートや、新社会人の言葉を終身雇用に結びつけるようなニュース記事を見ます。
さすがに終身雇用を求めている、みたいな記事は書けませんので、終身雇用を信用してないとか、そういう形の引用をされていますが、そもそも今、社会に飛び立つ若者は、終身雇用なんぞ歴史の授業で憶える単語ぐらいにしか感じていないんじゃないでしょうかね。
なので、終身雇用の旨味を知っている、または、それを具体的に知っている、今また復活してほしいとか、そういう立場からの記事に見えてしまうんですね。
私も、その旨味というか、あったらよいだろうな、という思いはありますので、その一味ではあるわけですが、ただ、それが日本の過去の栄光である、という思いは拭えない、という立場ではあります。
ちゃんと研究・分析すれば、違う一面があるのかもしれないですし、素晴らしい面もあったのでしょうが、今現状がこういう状況であるのならば、やはり、不況に弱いとか、変化に弱いとか、そういうことだったのかもしれません。
あらゆる分野で、少し前のことが前時代のこととして廃れていく時代ですから、十年前、何十年前のことは、本来、人の口にのぼることさえ稀なのに、いまだ語られる終身雇用というのは、それだけ影響力もあり、日本がほこる文化だったのかもしれません。
それだけに、その影響から脱するにも、全くそれを知らない世代だけにならないと、本当の歴史用語にしてしまわないと、難しいのかもしれないですね。
ふと見かけた新社会人へのインタビュー記事に、少し違和感、滑稽さをおぼえた、という話でした。