おとうさん、がんばれー。
おぅ、おとうさん、頑張っちゃうぞー。
そんな会話が聞こえ、すぐに私の横をチャリが通り過ぎていった。
過ぎてからも、後ろに座る子どもの掛け声が繰り返している。
ここは、坂道。登り坂。
お父さんは、電チャリであることはおくびにも出さず、わざとフラフラして、あぶな〜い、とか言いながら坂道を登っていく。
あの子が、電チャリという存在を認識するのは、いつ頃だろうか。
まぁ、子どもは覚えてはいないだろうけど、お父さんは、ネタのためとはいえ、少し演技してしまったことが、いつまでも心に残ることだろう。