火をつける時に使用する、ライター。
石を擦って火花を散らし、ガスに着火させるタイプと、ボタンを押して電気的な火花(?)を飛ばし、着火させるタイプがある。
この、ボタンを押すタイプのライターには「圧電素子」というのが仕込まれていて、技術的、物理的なあれこれはわからないものの、それで電気を飛ばすのだとか。
子どもの頃、ガチャガチャで、おそらくこの圧電素子タイプのライター着火技術を流用した、いたずらグッズがあった。ボタンの先に針金が出ていて、それを体に接触させてカチッとやると、針金が触れている部分がピリッとくる。体だけではなく、例えばカンペン(若い人は知らない?)なんかも電気が走るので、学校でのイタズラに使用したものだ。
子ども心に思った。
電池などが入っていないのに、電気が発生するということは、もしかして日本の電力事情に革命をもたらすのではないかと。
例えば、新宿駅や東京駅構内の床一面にこれを張り巡らせたら、どれほどの電力が生まれるのだろうか、と。人が歩くたびにカチカチと電気が発生するわけだ。
エネルギー保存の法則からすると、これが成り立つのなら、人って、歩くだけでも無駄にエネルギーがどこかに流れていってしまっているんだなとか、そんなことも考えつつ、新宿駅だけでどれほどの電力が賄えるのだろうか、とか、床一面がスイッチだと、ちょっと歩きにくいな、とか、答えのない妄想をしたものである。
結局、この「圧電素子」という言葉を調べるためにネット検索をしていたところ、既に自動ドアの開閉や、夜間照明等に実用化されているらしいことを知る。
また、JRなどで、実際に人の歩行から発電する研究などは進んでいるようで、実験も行われているらしい。
私の子供心の妄想は、実現に向かって着々と歩を進めているようだ。
すごい勢いで進歩する昨今の蓄電池や蓄電システムなどと組み合わせると、もしかすると、もっと大きな何かを動かす時が来るかもしれない。