今週のお題「秋の歌」
童謡なんかだとピンとくるものがありますが、ポップミュージックで「秋の歌」って、あまりピンとくるものがありません。
自分が勝手に秋っぽい、と感じるものは探せばありますが、そういうのでよろしいのでしょうか。
というわけで、勝手に秋っぽいと思う曲をあげてしまいます。
はしだのりひことシューベルツ
「風」
私の中では「グループサウンズ」という認識なのですが、よく考えたら、私はグループサウンズの定義を詳しく知りません。一定の時代のバンドサウンド、みたいな感じで捉えています。
ちなみに、曲のジャンルはフォークソングだそうです。
発表は1969年。
当ブログで、私の年齢は絶妙(?)にぼかし続けているのであまり具体的には言えませんが、まぁまだ生まれてないですね、私。
自分が生まれる前の曲、生まれた頃の曲、けっこう好きなんです。これは多分、刷り込みのひとつでして、小さい頃、親父がよく車で聴いていたんですよね。
車の後部座席に寝っ転がって、窓から空をボーッと眺めていて。運転席の窓から入ってくる風と、そこに混じるタバコの匂い。私の中の「この時代の曲」というのは、そんな景色とともに体に染みつきました。
この「風」も、そんな曲のなかのひとつです。
ただ、この曲、歌詞に「冬」って出てくるので、明確に「冬の歌」になるんだと思います。
″プラタナスの枯れ葉舞う 冬の道で″
でも、プラタナスの枯れ葉が舞う道って、私の中では秋の景色がしっくりきます。
さらに、タイトルになっている「風」も、歌詞の通りであれば冬に吹く風ということになり、ここから想定される景色は、とても寒い。
でも、歌声には温かみがあり、冬、というイメージはしにくいんです。
秋が深まり、寒くなってきたねぇ、という感じかな。
一方、歌詞の内容はそんなに温かみがあるものではありませんが、誰しもが感じるだろう寂しさや、生きていくことの寂しさを「風」が代弁しています。
けして複雑ではなく、むしろ単純とも言える歌詞ですが、だからこそイメージが膨らみ、その情景を自分目線で眺めることができます。
寂しさというのは、真冬の凍る風よりも、秋の、日に日に寒さが深まっていく中の風の方が、似合うと思います。
″振り返っても そこにはただ風がふいているだけ″
このイメージは、秋のそれだと、私は思うのです。